海外に旅に出る。
行く先の土地にて、そこに住む人々の暮らしを手っ取り早く知るには市場に行け、ということをよく耳にする。
なるほど、その土地で採れ、売られている食材など人々の食に対する接しかたを見ることによって、
彼等の生活における価値観などを知る事が出来るということか。
僕はと言うとまず本屋に足が向かう。
情報誌から文学、美術書、教育関連から専門書。
整然と陳列されているさまざまな本を眺めながら、その土地の人々が今何に興味を持っているか想いを巡らす。
分厚い専門書らしき本を無心に読み耽っている中年男性、
表紙とじっとにらめっこしている女子学生、
はたまた定員にある著書に関して尋ねている小さな子連れの母親などなど。。
これらの人々を眺めていると、この土地の人々にとっての本屋の役割や必要性も同時に見え始め、
ともすればそこの人の暮らしも何となく見えてくる。。
今まで旅先で通った本屋は数あれど、特に思い出に残る本屋の一つはと言えば、
オランダのマースリヒト市にある 「Dominicanen」 という本屋。
古く荒廃していた教会を改修し、新たに知をもって人が行き交う場に変貌させた「最も美しい」本屋の内観はまさに壮観の一言。
ここはもはや非日常の時間•空間ではなく、日常を豊かに彩る場。 併設されているカフェからのコーヒーの香りに誘われる。